【その場しのぎの千夜一夜物語】:好きな作家
皆様、千夜一夜物語はご存じですか?
千夜一夜物語は横暴な王様に殺されないようにその日の夜に妻が話をするという体で進行するそうです。
このブログが始まってから私は主に哲学者についていろいろと勝手なことを書き連ねてきましたがどうにも体調を崩してしまったがために調べものがおろそかになってしまいました。
ただ、最近始めたばかりのブログに穴をあけるのも忍びない
ですからこうして、お題を使って何か物語でも書き、それで時間を稼ごうというわけです。
ですから私の体調が回復するまでの間、この苦し紛れにしばしお付き合いしていただけるのならばよろしくお願い申し上げます。 ふぁっち
好きな作家、そういうと私の周りの人間たちはこぞって村上春樹だという。
村上春樹氏になんの落ち度もないし、この話題において誰かを責めるならこんな話題を切り出した私に他ならないが
村上春樹といったその人たちの中にどれだけの人間が本当に彼の作品のファンであるのだろう?
彼のファンだと言っている自分に酔うことなく、またそれを嫌って彼を嫌う人間のほかに彼の文学に魅せられている人間はどれだけいるのだろう
私は用もないのに立ち寄った図書館でそんなことを考えていた。
図書館には様々な本があるがしかしここぞというときにには痒いところに手が届かない ここはそういったよくある街の図書館である。
用もなく来たので何の本を見たところで特に読む本なんて見つからないし
ペラペラと本をめくったところで何も得ることはできない
しかし、そんな怠慢な気持ちできた図書館には一つだけ探していたものが見つかった。
それは麗しの女神である。
彼女はそれは美しかった
知性を讃える眼鏡からは固く守られてきた自制と強い意志が
本に臨む美しい姿勢からはそれまでに与えられてきた高い教養と凛とした綺麗な空気が漂っている。
正しく一目惚れ。
一目惚れによって相手を選ぶとよい。とどこかで聞いた気がする。
これは確実に神がくれたチャンスだと思った。
そう思えば思うほどに彼女のことが気になり、また冷静であろうと一人で悶えていた。
彼女は今一体何の本を読んでいるのだろうか。彼女の好きな作家はだれであろうか
それについて質問しようと足を前に進めようとしたがこのチャンスばかりは確実に掴みたい
そう思うだけで足が竦んだ。ここは図書館、見ず知らずのの自分が話しかけるのはいけない。
チャンスに対して勇気が出なかったことに言い訳するうちに落ち着きを取り戻した彼は一旦落ち着くために自らの家に帰ることにした。
その帰途の途中でからは先ほどの妄想の続きを再開した。
彼女が好きな作家は実際誰だったのか。もしや彼女もまた村上春樹氏の信奉者なのか?
いや、彼女が例えそうであったとしても彼女なら文学に正面に向き合いその結果彼を選んだに違いない。彼女は文学を十分に理解するが故に村上春樹とそう答えたのだ。