【その場しのぎ千夜一夜物語】3:思い出の一枚

皆様、お元気ですか、ふぁっちです。

私がこのようなことを初めているのは、思い付きでかけるからです。

どこそこへ行く必要もなければ、調べ物をする必要もない。

自分の中から湧いて出た言葉をなんとなく書くと記事になっている。

すごく簡単だからその場しのぎとして始めることにしたのです。(ですから面白さには一つも保証することができないのですが....)

ですがこのようなことばかりしていてはいけませんね、早くまともな記事が書ける人間になりたいものです。

第一回目
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 前回

 

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お題「思い出の一枚」

 私は今日もまたあの女神を再び見るために、図書館へ向かっていた。

私の家から、図書館へは徒歩で行くことができるような距離にあるのだが今日は存外に時間がかかっていた。

というのもいつも行く道で事故が起きていたからだ。

外国から来たであろう二人組に声を掛けられていたのだ。

何が何だかわからない。フランス語だ、彼らから出る言葉は英語ですらなかった。

英語ならまだ多少は会話にはなっただろうがこれは予想外だった。

不測の事態に私はそもそもこの言語が何なのか理解することすら困難であった。

慌てふためく私にはどうすることも出来ないまま時間が経って行った。

それはこの時の体感であって実際には数分の出来事であったがこの状況に混乱した頭はこの時間を三十分にも二十秒にも感じていた。

彼らが私に諦めてちょっとした失望交じりに謝って帰ろうとしたその時。

混乱した志向に一筋の空白ができたのは見知らぬ言語が別方向から聞こえてきて思考が停止したがためだった。

また女神がやって来たのだ。彼女もまたよくわからない言葉を彼らにぶつける。

自分を飛び越えて謎の会話が進み、どこかへ移動するように女神が促している。

女神が目の前で移動していく、それを傍観していると知らないうちに解散して、そのまま図書館の方向へ行こうとしているのを見た私は図書館とう場所にあの日の女神を思い出しようやく我に返ったが新たに無意識のまま彼女に何か言わなけれはという衝動が体を突き動かした。

「あ、あの!さ…っきはありがとうございました。」

「い、いえ何か困ってたみたいだったので聞いていたら少し話せそうだったので」

彼女は人間だった。まだ目の前に現れて触れればどうなるのかわからないと思うほどの感触だったがあの麗しき女神は確かにこの現代に生きる人間の一人だとそう思うことがようやくできた。

とっさに何とか会話にもっていきたいと思った私はそれまで謎の言葉を発するだけの彼らのことが頭をよぎった

「ぁ、あの人たちは何を言っていたんですか?」

「そこの駅に行きたかったみたいですよ」

あくまで事務的に返す彼女だったがそれでも今日の収穫としては十分だった。

「これから、図書館に行くんですか?あっ、あのこの先って図書館くらいしかないから。駅以外は、」

ひきつった顔と苦し曲げれの冗談で彼女のことを追っかけていると悟られないように言い訳をした。

「え、まぁ…」

明らかに感触が悪い、やはりこの状況でこの質問はまずかったのか。それでも会話をやめるという選択肢が出てこない。私は話題を転換するという方法で会話の続行を試みた。

「何か、お礼をさせていたただけませんか?おねがいします!」

「い、いえ、結構です。」

どんどん印象が悪くなっていく。今日はもうやるだけ悪化するだけだと思った。

それでも今の今まで混乱し続けた頭に正常な思考をするだけの空き容量は残っていないどうしてだかこの先も絶対しないであろう提案が口をついて出てきてしまった。

「あの、写真を一緒にとってくれませんか?いつかこの借りを返したくて、それで今日のこと忘れたくなくて、えっと、それで....」

彼女もこの提案には戸惑ったが、必死すぎる上に奇天烈なことばかり言って自分を拘束している変質者たる私に根負けしたのだろうか渋々なのはわかっていたが案外簡単に引き受けてくれた。

とはいったものの今まで写真を撮ることなんか滅多にない私は全然うまいいかないまるで知育玩具で遊ぶ赤ちゃんのようなたどたどしさとぎこちなさだったが彼女はここでもまた、私にやり方を教えてくれた。

そうして写真を撮っていい気になった私はそのままやるしかないと謎の高揚感のままに連絡先まで一方的ではあったが教えてしまった。

そのまま図書館に一緒に行くことまではなぜか気が引けて急いで適当な方向を指して別れ帰宅した。

その後の彼がとんでもないことをしてしまったと振り返るも彼女の写真を手に入れたといううれしさでどうしようもないほど悶え苦しむのはまた少し後のことである。